レスベラトロールの体脂肪減少(ダイエット効果)の考察

レスベラトロールの体脂肪減少(ダイエット効果)の考察

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慶應義塾大学商学部卒業。パーソナルトレーナー。東京23区を中心に出張パーソナルトレーニングを提供しています。




今回は、レスベラトロールとダイエットとの関係についてご説明します。

レスベラトロールとは、ブドウやピーナッツの渋皮などに含まれ、フレンチ・パラドックスとの関係も囁かれている栄養素。

その体重減少作用(ダイエット効果)ついて、研究論文などをもとに考察します。

レスベラトロールとは?

レスベラトロールは、抗酸化作用があることで知られているポリフェノールの1種です(What You Need to Know About Resveratrol Supplements. WebMD. )

主に、ブドウの皮中に含まれていることが知られています。その他、ピーナッツやベリー類にも含まれています。

レスベラトロールとフレンチパラドックス

みなさんは「フレンチ・パラドックス」という言葉をご存知でしょうか?

飽和脂肪酸やアルコール飲料を中心とした、冠動脈性疾患を引き起こしやすい要因を多く含む食事をしているのにも関わらず、それによる死亡率が低いというパラドックスのことです。

主にフランスでこのような現象が見られることから、フレンチ・パラドックスと名付けられています (Ferrières, Jean. “The French paradox: lessons for other countries.” Heart 90.1 (2004): 107-111.)

確かに、フランス料理では、バターをふんだんに使用していますし、メインディッシュは赤身肉。そして食事には多くの場合に赤ワインがつきます。

このような食事は冠動脈性疾患を引き起こしやすい要因を複数そなえています。
それにも関わらず、それによる死亡率が低い。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

このパラドックスが発生する原因に、赤ワインが関係しているのではないかと考えられていました。

その理由が、今回紹介しているレスベラトロールが赤ワインに多く含まれるためです。

レスベラトロールには、心臓の再分極を遅くしたり、不整脈を抑える働きがあるなど、いくつかの心臓を保護するための働きがあります (Stephan, Laura Siga, et al. “Red wine, resveratrol and atrial fibrillation.” Nutrients 9.11 (2017): 1190.)

そういった働きが冠動脈性疾患の発生を抑えていたと考えられていたのです。

しかし、最近の研究では、それだけにとどまらない、様々な健康に対する有益な効果が発見されようとしています。
その一つが、今回紹介しようとしているダイエットを助ける効果です。

レスベラトロールは脂肪合成を抑制させる

では、レスベラトロールはどのような作用でもってダイエットを助けるのでしょうか。
これは、レスベラトロールの脂肪合成を抑制する効果にあります。

このことを説明するために、まずは脂肪が合成されるプロセスから説明していきましょう。

脂肪合成のプロセス

脂肪細胞は、幹となる細胞から分化し、自らと同じ細胞を増殖(クローン増殖)、その後、脂肪が細胞の中に入り、大きくなっていきます。

脂肪細胞は、発生→増殖→肥大化というプロセスを追って成長していきます。これが過剰に行われた場合に、脂肪が蓄積していくのです(Farmer, Stephen R. “Transcriptional control of adipocyte formation.” Cell metabolism 4.4 (2006): 263-273.)

そのプロセスが正常に行われるためには、様々な物質が滞りなく作用することが必要です。

たとえば、PPARγ、C/EBPα、SREBP-1cなどは、脂肪細胞に分化する際に必要な転写因子で、特にPPARγは分化に必須です。

こういった物質の生成や発現をレスベラトロールが妨げることが報告されています。

脂肪細胞を死なせる作用もある

さらに、レスベラトロールには脂肪細胞のアポトーシス(細胞死)を促進する効果もあることがわかっています。

豚の脂肪細胞を用いた研究では、アポトーシスを開始させる重要なシグナルである、カスパーゼ-3を増加させることを報告しています。

この場合のアポトーシスは、脂肪の前細胞について作用するため、前脂肪細胞が脂肪細胞に成熟する前にその細胞を破壊します。

以上2つの作用により、レスベラトロールは、ミクロレベルで脂肪合成を抑制する働きを持ちます。

しかし重要なのは、この作用が実際の人間においても作用するかどうかです。

先ほど、脂肪細胞のアポトーシスを促進する働きがレスベラトロールにあることを説明しましたが、それが発揮される濃度は、生体内では実現するのが難しいほどの高濃度です。

そのため、細胞実験で見られたような効果が、おいても現れる保証はありません。

以下では、実際にレスベラトロールを口から摂取した場合の効果について紹介していきます。

レスベラトロールの人間に対する効果は?

結論から申し上げます。

過体重および肥満の人に対してレスベラトロールを摂取させた場合でも、レスベラトロールによる体重減少効果および体脂肪量に改善は見られませんでした。

これは、レスベラトロールを対象にランダム化比較試験を行った9つの研究を系統的にレビューした研究の結果に基づいています(Christenson, Julia, et al. “The effects of resveratrol supplementation in overweight and obese humans: a systematic review of randomized trials.” Metabolic syndrome and related disorders 14.7 (2016): 323-333.)

この研究では、1990年から2015年までに公表され、ランダム化比較試験という結果の信頼性の高い研究デザインで行われた、レスベラトロールと肥満との関連を検討した研究をレビューしています。

9つの研究全体で合わせて、208名の被験者が参加していました。
それぞれの試験における実施期間はまちまちですが、短い試験で2週間、長いものでは3ヶ月におよぶものもありました。

これらの研究のうち、7つの研究ではBMIおよび体重の変化、2つの研究では体脂肪量および脂肪の組成、1つの研究ではその両方を測定しています。

しかし、これらの研究では、いずれの指標にも、統計学的に有意な変化は見られませんでした。
レスベラトロールは体重および脂肪量を変化させなかったのです。

この結果はどのように解釈すれば良いでしょうか。

細胞レベルでみると、確かにレスベラトロールには、体重減少に対して有益な方向に働く作用があると考えられます。

しかし、実際に人に対して摂取させた場合にはそのような効果が見られませんでした。
これについて考えられる可能性は試験期間の短さです。

先でも記述しましたが、今回の研究では2週間か90日程度の実験期間でした。

この期間は薬品などの病気の治療に対する実験期間としては十分な期間ですが、それよりも影響が低いと考えられる栄養素に対する実験期間としては短かったのかもしれません。

また投与量が、効果を得るために必要な量には足りなかったのかもしれません。

細胞に直接にレスベラトロールを投与する場合、かなりの高濃度で作用させることになります。
しかし、サプリメントなどで摂取した場合、そこまでの高濃度にはなりません。

体液で薄められますし、摂取した全てが細胞に届くとも限らないからです。
そのため、期待する効果が得られなかったと考えられます。

まとめ

今回はレスベラトロールがダイエットに効果的か否かを解説しました。

今回紹介した研究を検証した結果、現状では、レスベラトロールをダイエットに用いることを積極的に推奨することはできないと思います。

ただし、レスベラトロールには、体重減少以外にも有益な効果が確認されています。

それに加えて、レスベラトロールが体重減少とは逆方向―体重を増加させる方向に作用するとは考えにくいです。

以上より、レスベラトロールを摂取してもいいと思いますが、積極的には摂らないことを推奨いたします。







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